高校野球への道


高校野球に対応するための心と体の作り方
【中学野球小僧 2005年9月号&10月号より抜粋】
2005年9月号
2005年9月号
2005年11月号
2005年11月号
当チームの方針として、3年生の夏の大会が終わっても引退はありません。高校野球に向けての本当のレベルアップは、夏季大会終了から高校入学までの期間にこそやるべきものだと考えています。
そのために指導は、在団生すべてに対して「野球は高校に行ってからが本番である」、との基本方針に基づいて、スタッフが一丸となって当たっています。この方針の根本が、蓬莱 昭彦総監督の考えにあります。
中学生のための野球雑誌としてバイブル的な存在である、(株)白夜書房発行の『中学野球小僧』。その誌面で中学野球・高校野球を一貫して追跡しているライター、瀬川ふみ子さんの取材により、「高校野球に対応する心と体の作り方」というテーマに、蓬莱総監督が答えました。そのページには総監督が、日頃考えている指導の内容が掲載されています。
世田谷西リトルシニアの方針と活動内容を的確にまとめあげていただきましたので、編集部のご理解とご協力により、本HPで『中学野球小僧』2005年9月号、11月号に連載された記事を抜粋して紹介します。全文は右上にある『中学野球小僧』表紙のリンクよりバックナンバーをご購入してご覧ください。
瀬川さんには、『中学野球小僧』のほか各大会におきまして、東京中日スポーツ紙を始めとして、いつもお世話になっています。厚くお礼申し上げます。
心の準備とウエートトレーニングのメニュー (2005年9月号抜粋)
本当に高校で野球をやるのか?
中学3年生の選手は夏の大会後、まずは「本当に高校で野球をやるのか」を考えることです。高校でも真剣に野球をやりたいのか。そこでやると決めたら、3月までの過ごし方をそれなりに考えなくては。自分には何が足りないのか、どこをアップしたいのか。守備なのか、打力なのか……。そういうことから真剣に考えていくわけです。
せっかく8月まで目いっぱい鍛えて50~60の力になったのに、「8月以降は勉強!」なんて、ほとんど練習しないで高校に行ったら、1からのスタートになってしまいます。勉強は勉強、トレーニングはトレーニング。自分の足りないところを知って、そこを補ったり、長所をさらに伸ばしたり……。50~60の力を80くらいまで引き上げて、高校野球に入りたいですね。
他力本願ではなく“自力”本願!
高校で野球をやると決めたら、なんと言っても体作り、ウエートトレーニングでしょう。テクニカルな部分、技術については高校の監督さんによって考え方が違います。基礎さえできていれば、あとは高校で教えてもらえばいいんです。でも体作りはそうはいきません。ウエートトレーニングは「自力本願」。自分でやらなければ、力がつかないですから。
高校では、守備でもバッティングでも走るのでも、何でもいいから目立つものを1つ持っていれば有利です。逆に言えば、1つ持っていなければ苦しいと思います。どれもイマイチなのに他人と同じ練習をしていたって、強くもなれないし速くもなれない。一向に抜け出せないんです。
早いうちから何とかしようと思って、自分の持っている筋力を少しでも上げていけば、何かが変わります。足が速くなりたいなら、走るための筋力をつければいい。肩を強くしたいなら、肩を強化するトレーニングをやればいいんです。
まずは、自分にとってのテーマを見つけること。そして、それに関する本でも買って、読んで実践してみればいい。教科書なんて、いっぱいある。あとは自力本願、自分でやるかどうかです。
本を読んでわからないなら、誰かに聞いたっていい。自分の足りない部分を鍛えるにはどうしたらいいか、自分で見つけて勉強する姿勢が大事。そのためにまずは、体のどこにどんな筋肉があって、そこを鍛えると何がいいのか、どういう効果があるのか。そういうことも知っておくといい。
専門書には正しいトレーニングの仕方なんか、説明つきで全部書いてあります。それでもわからなかったら、わかる人に聞きに行けばいい。自分がやりたいことをやるためには、どん欲になること。積極的に話を聞きに行ったり、質問したりする姿勢が大事だと思います。
筋力を上げる「時期」を考える
ウエートトレーニングをやるうえで気をつけることは、トレーニングをやる間隔です。ウエートトレーニングというのは毎日やってもいけないし、間隔をあけすぎてもいけない。ウエートトレーニングをやった後の筋肉は一時疲労していて、それが通常に戻るためには1~2日かかります。その後「超回復」という回復時期に入るんですが、そこで次のトレーニングを始めると、筋力が上がっていくんです。
でも筋肉が疲労しているときにやってしまうと、筋肉が疲れをため込んでしまって効果は得られません。逆に、超回復時期が過ぎてからやっても意味がない。そういった筋力のしくみを知ったうえでやらないと、逆効果になってしまう。ですからウエートトレーニングは、やる時期、間隔に気をつけたいですね。
ウエートトレーニングの実際
ウエートトレーニングには機械を使わない「フリーウエート」と、機械を使う「マシンウエート」の2種類があります。今回は専門のジムに行かなくてもできる「フリーウエート」を紹介します。負荷や回数などについては、こんなに軽くていいのか? っていうくらいの軽い負荷でいい。40~50回くらいやって、ようやく重く感じるくらいの負荷です。そのくらいを連続してできない場合は、負荷が大きいということ。もっと軽くしてやるべきでしょう。
逆に、いつも30回くらいでピークがきていたのに、それを過ぎても軽く感じるようだったら力がついたということ。負荷を少し重くしてやるといい。ポイントは、30回、40回……、とやって、もうダメだ~! となったとき、そこからまださらに3~4回やることが体を強くするんです。脇についている人は、そこを見抜いて頑張らせるといいですよ。
[注 : 具体的なメニューの内容については掲載された『中学野球小僧』を参照願いたい] ①レッグランジ ②バックプレス ③プッシュアウェイ ④ディップ ⑤ラタラルレイズ ⑥ダンベルツーアーム ⑦ワンサイドスクワット ⑧ダンベルフロント/サイド/プレス ⑨ハーフスクワット ⑩プローンラタラルレイズ
すべてのメニューに共通するのは、1回ずつ止まらないで続けてやること。完全に止まってから、またやり始めると乳酸が体にたまってよくないですから。30回やろうとしていたのが25回しかできなかったら、25回で終えた方がいい。あとの5回を休み休みやるのは、ほとんど効果がありません。
リストとふくらはぎも鍛えよう!
機械を使えば、さらにいろいろとできますが、フリーウエートはこのくらい。プラスするとしたら「リストカール」。ダンベルを持って手の甲を下にして、手首を上下に動かします。
もう1つ大事なのがヒラメ筋。いわゆる、ふくらはぎの辺りです。ここがまたやっかいで、なかなか筋肉がつかない。それでいて、肉離れしたら非常にやっかい。ヒラメ筋は段差のあるところにつま先で立って、かかとを上下することで鍛えられます。ヒラメ筋は3カ所あるので、正面、内股、がに股と角度を変えて、気がついたときに継続してやっておくといいですよ。
それと、体の後ろの側の筋肉、大腿二頭筋は走るトレーニングなどで鍛えられるけど、前側の大腿四頭筋は鍛えられない。守備では、前に出ていって止まって補って投げる。走塁にしても、突然止まったりすることがある。大腿四頭筋が弱いと、ピタッと止まれないんです。
ただ漠然と打つ、投げる、守る、という練習ばかりじゃなく、体を鍛えることも大事。「ウエートトレーニングをしたら背が伸びないんじゃないか」と思っている中学生もいるようですが、正しい形で正しい回数をやれば、絶対にそんなことはありません。正確なトレーニングは、むしろ体の成長を促していきます。間違ったやり方だと、背が伸びないどころか故障の原因にもなります。
速く動かすトレーニングも効果的!
それから、時には何も負荷をかけないで、30回くらいのスピードトレーニングをやるのもいい。脳から筋肉に「素早く動かす」という指令を出させるトレーニング。走る練習でも、坂道を走るとか、階段を上がるとか、筋肉を速く動かすことを覚えさせていくといい。筋肉は素直だから、速く動かせば速く動く筋肉になっていきます。自分で筋肉を育てていくといっても、ムキムキに盛り上がっているのが筋肉だと思っている人もいるでしょうが、それは違います。
ボールを投げたり打ったりする動作を考えると、野球は手足を伸ばして使うスポーツ。関節を曲げたときに筋肉がポコッと出ていたとしても、伸ばしたときに出ていてはダメなんです。そうならないためには、練習後のストレッチが大事。よーく伸ばして、可動域を大きく使っていきましょう。
でもやっぱり、ウエートトレーニングはつらい……。1人で黙々と続けていくのは、中学生には難しいでしょうね。たとえば友達同士、何人か集まってやるのがいいんじゃないかな。友達がやっているのを見て「あいつにできて、オレにできないわけがない!」とアドレナリンが出てきたりする。競争しながらトレーニングをやるのは、いいことだと思いますよ。もちろん、ムリのない程度にね。
強い球児になるための「心構え」と「食」 (2005年11月号抜粋)
メンタル編 Q&A
高校野球に向けての心構えについて、蓬莱監督の考えを聞かせてください
まずは自分がどれくらい野球が好きなのか、もう一度考えてみることです。自分を知ること、自分の気持ちを見極めることは、すごく難しいと思います。でも、本当に野球は好きで、高校で続ける気持ちがあるのか、しっかり考えてみてほしい。高校でも続けると決めたら、覚悟をする必要がありますから。
「高校で野球をやるのに覚悟なんて、ちょっと大げさじゃないか?」と思うかもしれません。でも中学生までと違って、高校は義務教育じゃない。必要とされない者は去っていけ、という部分も実際にあります。チームにプラスにならない選手は切り捨てられてしまうケースもあるし、仮に問題を起こすようなことがあれば、退学させられることだってありえます。
脅かすわけではありませんが、「今までよりも厳しい世界に飛び込んでいくんだ」という覚悟は、しておく必要があると思いますよ。
高校野球は、怖い世界なんですか?
厳しいことは確かですが、自分の意志をしっかり持っていれば大丈夫です。だからこそ、最初に自分をよく知り、高校ではどういうスタイルで野球をやりたいのかを、明確にしておいたほうがいいんです。
絶対に甲子園に行きたい。その夢をかなえるために強豪校に行きたい。……それじゃあ、チーム内で激しい競争になったとしても耐えられるのか。もしレギュラーになれなくても、最後まで続けていける強い意志はあるのか。あるいは、甲子園には行きたいけれども、それほど強い高校じゃなくてもいい。甲子園に行くのはちょっと難しくても、自分がレギュラーになれるくらいの高校がいい。そこで楽しみながら野球をやりたい……。
そうやって考えていって、自分の方向性が見えてきたら、自分の考えに合った高校を選んでチャレンジすればいいんです。「家から一番近いところでいいや」なんて簡単に決めたり、先輩や友達に誘われたからとか、安易な気持ちで高校を決めて野球部に入っても、なかなか続かないと思いますよ。
それでもチームに馴染めずに、野球をやめてしまう選手もいますが
練習が厳しくてついていけないケースより、精神的に追いつめられて、という理由の方が多いでしょうね。中学まではワイワイ楽しく野球ができたとしても、高校は同じレベルの選手、あるいは自分より力のある選手が集まってきます。相手チームに勝つことよりも先に、チーム内でレギュラー争いをすることになるわけです。「絶対にレギュラーになってやる!」とか、「どんなことがあってもアイツを抜いてやる!」といった個人の戦いはずっと続いていく。
精神的に厳しいのは確かだと思います。高校は、誰もがみんな自分がレギュラーになることが第一目標ですからね。
そんな中でレギュラーをつかめればいいけれど、中学までずっとレギュラーだったのに、高校でレギュラーを取れなかったときにどうするか。誰も同情なんかしてくれません。それでも強い気持ちを持って、「また頑張ろう!」、「もう1回、レギュラー取りに向けて努力しよう!」と前進していけるか。強い意志を持っているかが勝負だと思います。
「監督と合わない」という理由でやめてしまうケースもあると聞きますが
監督さんの中には「コイツは使えない」と思ったら、パッと切ってチャンスも与えてくれない人もいれば、挽回するチャンスを与えてくれる人もいます。監督さんの方針や性格は、高校を選ぶときに自分の目で見たり、今所属しているチームの指導者や先輩に聞いたりして、ぜひ知っておきたい部分ですね。
たとえば、怒られて発憤する選手は、刺激を与えてくれる監督さんがいる高校を選べば伸びるでしょうし、ほめられて伸びる選手は、ほめ上手な監督さんが率いるチームを選べばいい。実際に入ってみなければわからない、というのも事実ですけど。
高校では対監督をはじめ、対先輩、対同級生……、いろいろと人間関係が複雑になっていきます。でも、大人になって社会に出れば、上司、先輩、同僚、取引先……、多くの人の中で仕事をしていくわけです。だから、高校3年間は社会に出る前の予行練習と思えばいい。多少つらいことがあっても何とかやっていければ、社会に出てもちゃんと生きていける。そこで、はみ出してしまうようであれば、社会に出て馴染めなかったり苦労したりするかもしれない。高校野球に限らず、どんな世界でも共通する部分はあると思いますよ。
今から強い意志を持っておくことが、将来、社会に出ても大事なんですね
本当にそう思います。以前、こんな選手がいました。うちのチームではセカンドの3番手か4番手、正直言って、それほど上手ではない選手でした。でも本人には「横浜高校の帽子をかぶりたい!」、「YOKOHAMAのユニフォームを着たい!」という強い意志があったんです。幸い横浜高校に入学することができて、入ってからも本当に頑張ったんでしょうね。一度だけでしたが、ベンチ入りしましたよ。野球の実力ではなくランナーコーチとして入れてもらったようでしたが、そういう強い気持ちこそが大事なんだと思います。最後は「自分はここで頑張るんだ!」と思えた選手の勝ちです。
逆に、中学時代にちょっと活躍してあちこちの高校から誘われていた選手が、3年間続かなかったりすることもあるんですよ。つらいことがあると「あっちの高校に行っていればよかった……」なんて思ってしまうわけです。そうじゃない。「この高校に行って野球をやるんだ!」と自分の意志で決めたら、しっかり覚悟して最後まで真剣に頑張り通すこと。それが一番大事なことだと思います。
食事編 Q&A
高校野球をやっていくために、「食は」大事な部分ですよね?
もちろんです。それなのに、最近は「食べられない選手」が増えています。「食べる選手」との差は、5倍近いと言っていい。
以前は朝昼晩と3度の食事の時間にガッチリ食べるのが普通でしたけど、今はコンビニが町中にあって、「今、食べなくてもお腹がすいたときに、いつでも食べられる」という環境です。出されたものにしても、特別好きなもの以外は手をつけないとか、「体に合わないから」と残してしまうとかね……。
でも、好き嫌いをしているようでは強い体は作れません。高校では中学よりも運動量が格段に上がるんですから、「食べなければついていけない」というぐらいに思っていたほうがいいですよ。
食べる選手と食べない選手には、どんな違いがありますか?
私もいろんな選手を見てきましたが、目を輝かせて楽しそうに食べている選手、つまり「食べられる選手」は、気持ちが強くプレッシャーにも強い。逆に食事の時間になると、またこんなに食べるのか……、と伏し目がちになっている選手、つまり「食べられない選手」は、意志が弱く勝負弱いところがあります。
そして、全員が全員そうとは言い切れませんが、食べる選手はケガにも強いと感じます。体の強さが違うんでしょうね。
体を大きくしたい! 今より食べられるようになりたい! という選手はどうすればいいですか?
まずは3度の食事をしっかり摂って、それ以外の時間に食べないことです。食事の時間にしっかり食べないで、次の食事時間までにお腹がすいて、スナック菓子なんかを食べてしまう。そうすると次の食事がしっかり食べられない。そうやってチョビチョビ食べていたら、いつまでたっても胃が大きくなりません。なにしろ3度の食事ごとに、きちんとした量を食べることです。
甲子園で上位に入ってくる高校の選手は、身長は別として横幅がガッチリした選手が多いでしょう。いい体をしていてプレーが力強い。日頃からしっかりとした食生活を送っているんだと思いますよ。家族の方も一丸となって「食」に取り組めば、体は大きくなります。
朝、食欲がない選手は、どうすればいいでしょうか
朝はお腹がすかないというなら、30分早く起きて散歩でもすれば、気持ちよく朝食を食べられますよ。実際「オレは朝、腹減らないんだよなー」なんて言ってる選手でも、合宿で早く起こして散歩や体操をすれば、かなり食べていますからね。
食べられない選手は、食べられないなりに努力する必要がある。だけどそういう選手に限って「朝ギリギリまで寝ているから食べる時間がなくて……」なんて言う。意志が弱いんですよね。朝食をしっかり食べられなければ、昼も夜も食べられない。まさに悪循環です。
親が忙しくて用意してくれない? ご飯ぐらい自分で炊けるでしょう。自分でにぎり飯を作って食べるくらいじゃないと!
好き嫌いを克服して、楽しく食べられる工夫はありますか?
肉や魚は好きだけど、野菜が嫌いだと言うなら、肉を野菜で巻いて食べるとか、好きなものと一緒に食べればいいんです。野菜ジュースにしてカーッと飲んじゃってもいい。バナナや蜂蜜など味の濃いものと野菜を混ぜれば、おいしく飲めますよ。カルシウム摂取には煮干しをミキサーで細かく粉末状にして、サラダにかけたり混ぜたりして食べちゃえばいいんです。
「○○を何グラム、××を何グラム摂取するのが理想」なんて書いてる本がありますよね。そういうのももちろん大切ですけど、まずはきっちりした量を食べて、胃を大きくすることが先だと思います。
「食べられるようになる秘策」があると聞きましたが……?
食べられないというのは、胃腸の働きが活発じゃないんです、それを活発にするのが「恵命我神散(けいめいがしんさん)」。昔からある漢方薬で、とにかく食欲が出て食べられるようになります。胃も大きくなるので、体を大きくしたい人にはいいと思います。薬局で売っているので、薬剤師さんに相談してみるといいですよ。
野球のための体作りという観点から、プロテインをどう考えたらいいですか?
体を作るのはタンパク質です。「タンパク質は食事でも摂れる」という人もいますが、今は環境や土壌などの影響もあって、昔に比べて食材ひとつひとつの栄養価が低くなっている。食事だけで1日の必要摂取量をまかなうのは難しい、というのが現状です。
高校では運動して消費する量が多くなると考えると、体の現状維持はできても、なかなか大きくなっていかない。体を大きくしたいなら、しっかり食事を摂ったうえでプロテインで補充し、休息も積極的にとるのが、ベストでしょう。
最近はプロテインもよく研究をされていて質のいいものがどんどん出てきていますから、高校に向けて飲み始めてみるのもいいと思いますよ。ただ、継続して摂取するにはお金がかかるし、絶対に飲まなきゃダメとか、そういうことではありません。あくまでも3度の食事が一番大切ですからね。
そしてメンタルの話でも出たように、まずは何を目指すのかをよく考えてみること。多少のお金をかけても体を作りたいと思えば、プロテインを買って飲めばいいし、そこまでやる必要はない、食事で十分という考えなら、それでいいと思います。
プロテインを飲んだら太ってしまった、という話を聞いたことがありますが
運動量が少ないのにプロテインを多く飲んだり、糖質の多く入ったプロテインを飲めば、体は太ります。今は本当にいろんな種類が出ていますから、それぞれの「成分表」をよく見比べることです。
100グラム中にどのくらいタンパク質が入っているか、糖質はどれくらいか……。タンパク質の含有量は70~80グラムのものが多いですが、最近は90グラムを超えているものも出ています。太ってしまうというなら、タンパク質が多くて糖質が少ないものを選ぶといいと思います。
ただし、タンパク質はビタミンと一緒に摂らないと付着しにくいので、ビタミンも入っていたほうがいい。ビタミンが少ないものなら、ビタミン剤を一緒に飲むのもいいと思います。ガリガリに細くて、もっと太りたい選手なら、ウエートアップのものも出ています。
プロテイン摂取のための、ポイントを教えてください
プロテインは通常「体重×2グラム」が基本です。60キロの人なら120グラムになるわけですが、アスリートなら体重×3グラム、60キロの選手なら180グラム。できれば、それを3回に分けて飲むのがいいと思います。
飲む時間帯としては、トレーニング後30分以内が吸収率がいい。ウエートをつけたいのなら寝る前。朝は食事で、しっかり摂る方がいいですね。
もちろん昼や夜も、食事が基本ですよ。食事をしっかり摂って、その補助としてプロテインを上手に活用するということです。ここを絶対に間違えないでくださいね。